◆無傷だった皇居、財閥、軍施設

司会　東京での原爆展キャラバン活動では、都民から東京大空襲の体験が堰を切ったように語られた。１晩にして１０万人が殺された世界的にも類を見ない大惨事であったにもかかわらず、７０年目を迎える今も公の慰霊碑も記念館もないことを痛切に訴えてくる人が多かった。東京都民の経験と切実な思いから出してみたい。

Ａ　東京空襲について、一般に死者１０万人といわれるが、真珠湾攻撃から５カ月後の１９４２年４月の最初の空襲から、最も被害の大きかった１９４５年３月１０日を含めて終戦の日まで１３０回以上もの連続的な空襲がやられ、東京都の調査資料には、死傷者・行方不明者は２５万６７０人、罹災者は３０４万４１９７人と記録されている。犠牲者の数だけ見ても広島・長崎、沖縄戦をこえる規模だ。

とくに３月１０日の大空襲のように、たった２時間余りで１０万人以上を殺すような空爆は世界中で後にも先にもない。イラクやシリアどころではない惨劇だ。それが「これまで語ることができなかった」といわれる。（２／５）

Ｂ　都内の街頭で原爆と戦争展をやると、どこでも例外なく東京大空襲の経験があふれるように語られた。「４６人の家族親戚が殺された」という人や「なぜいまだに慰霊碑がないのか！」とすごい怒りにこちらが衝撃を受けた。

浅草の空襲体験者の男性は、「疎開で小学校の卒業式に帰ってきたときに空襲にあい、同学年が３０人殺された」といい、「自分は言問橋を渡って逃げたが、ちょっと逃げ遅れた人たちは丸焦げになり、消防車も炎に呑まれて運転手がハンドルを握ったまま白骨になっていた。まるでマグロのように並べられた死体が数百ではなく２０００、３０００人という規模で転がっていた」と話していた。

「戦後は飢餓状態になり、区を通じて米軍支給品のコンビーフなどを配給した。“犬と同じ餌付けだ”と感じたが、食べなければ死んでしまうからみんな列をつくって並んだ。アメリカは日本人など虫けらぐらいにしか思っていないのに、日本の偉い連中はアメリカのために死ねという法案を通す。私たちには今も怨念がある。どんどん暴いてくれ。銀座のど真ん中でやってほしい」と訴えていた。（３／５）

Ｃ　原爆投下後の広島、長崎に匹敵するような悲惨さだった。米軍は春風の強く吹く３月という時期、民家を効率よく焼き払うための油脂焼夷弾の開発、空襲の手順も含めて用意周到に準備し、一般市民の民家が密集する下町地域をとり囲むように爆弾を投下している。火の壁で逃げ場をふさいで集中砲火を浴びせ、火の海を逃げ惑う人人に機銃掃射までやっている。

「機銃掃射で狙い撃ちしてくるパイロットが笑っていた顔が忘れられない」と何人もの人が語っていた。黒焦げの死体だけでなく、窒息死してピンク色をした遺体が蝋人形のように散乱し、それらが公園や学校などで山積みにされて焼かれたという。

墨田区錦糸町では、錦糸公園で約１万４０００体が焼かれて仮埋葬されたというが、それを伝える看板一つない。あまりの多さで処理できない遺体は何日もかけて川や海に捨てられていたという。（４／５）

隅田川にかかる橋の欄干や、総武線のガード下などには今でも積み重なって焼き殺された人間の油がそのままの形で染みついて、何度ペンキを塗っても浮き出てくるのだと語られていた。

５月の品川での空襲でも「真夜中にガソリンを撒いて焼夷弾をばらまいた」といわれていたが、「あれが戦争犯罪でなくてなんなのか！」と、７、８０代の年配者が語っていた。

とても昔話という雰囲気ではない。本当に語る場所がなかったからこその鬱積した思いがある。公園などに仮埋葬された１１万体といわれる遺骨は、関東大震災の慰霊堂（墨田区横網）に一緒に入れられている。

東京空襲を弔う単独の慰霊施設はいまだにない。なぜそんなことになっているのかだ。（５／５）

https://www.chosyu-journal.jp/heiwa/1134

オブザーバーで「ます参加を」
核兵器巡り野田氏

核禁条約巡り野田氏
立民の野田佳彦代表は、核兵器禁止条約について「オブザーバー参加からまず進めるべきだ」と述べた。オブザーバー参加に否定的な歴代の自民党政権とは異なるスタンスを明確にした。
「唯一の被曝国である、核廃絶のメッセージを発信し続けていかなければならない」と強調。「チャンスがあれば、主張することから始める」とも話した。

　中東など非核兵器地帯をつくる構想がある地点にも言及。「残念ながら北東アジアにはない。それを言及していくことも大事だ」との考えを示した。

核の危機　声を上げ続けよう
東西冷戦を終結に導いた旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の意志を継ぎ、核戦争の愚かさを確かめ合う「人間の安全保障フォーラム」が５日、原爆資料館メモリアルホールであった。
パレスチナ自治区ガザに侵攻したイスラエルや、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器を使う可能性に関連付け、被爆国の役割を論じた。
平岡さんは「両国に『米国も使った』と言い訳をさせないためにも、まず米国に原爆投下は間違っていたと認めさせる必要がある」と指摘。

佐藤さんは「核兵器禁止条約の締約国会議への日本のオブザーバー参加を実現させなくてはいけない。言論人の責務だと感じている」と応じた。
講演で、核抑止論の愚かさを指摘。広島や長崎で平和運動を尽力した人々をたたえ「厳しい情勢だからこそ、核なき世界へ取り組みを継続してほしい」と訴えた。
「紛争のニュースで無力感に襲われる日々だが、原爆の惨禍を発信する歩みを止めてはいけないとあらためて感じた」と話した。

核兵器使用のブレーキ役

日本被団協　みまき箕牧智之理事長が１２日、被爆者運動が核兵器使用の「ブレーキ役になった」と強調。一方で、被爆７９年の今も世界各地で子どもを含む市民が戦火の巻き添えになっている現状に強い危機感を示した。

日本被団協の代表委員を務めた谷口すみてるさん(２０１７年に死去)坪井すなお直さん(２１年に死去)たちの活動があっての受賞だと思う。

ノーベル平和賞委員会による「日本被団協と被爆者の代表らによる努力が核のタブーの確立に貢献した」と評価をどう受け止めますか。

　放っておいたら核兵器が使われたかもしれない中で、私たちがブレーキ役になってきたということだろう。
ただ、訴えても、訴えても、訴えても、世界に届かないという歯がゆい思いもある。今もパレスチナ自治区ガザなどでは子どもが血を流している。政治家は、子どもまで巻き込んで戦争をしていいかどうか、なぜ分からないのだろうか。

ー被爆者の平均年齢は８５歳を超え、各地で被爆者団体の解散が相次いでいます。

　被爆者は生きているうちに核兵器をなくしてくださいと訴えてきた。受賞は大きな弾みになるが、ゴールではない。被爆２世、一般の方にも平和、核兵器戦争について考えてもらいたい。核兵器廃絶を求める署名活動に関心を持ってくれる人が増えるのを期待する。来年３月にある核兵器禁止条約の第３回締約国会議に日本政府は最低でもオブザーバー参加してほしい。

>日本政府は最低でもオブザーバー参加してほしい。

アメリカの核の傘に入っている以上、絶対ムリ

島根原発「装荷」
中電に中止要請

市民団体「上関原発止めよう！広島ネットワーク」など６団体は燃料装荷や再稼働を取りやめるよう中電に申し入れた。

「燃料装荷は再稼動に反対する声を無視する行為」と抗議。
再稼働すれば使用済み核燃料が増えると指摘し、「核燃料サイクル構想は破綻し、人類と共存できない」と訴えた。

日本はオブザーバー参加すらしてない。首相の口から、核兵器の非人道性についての言葉を聞くことはほとんどない。世界が被爆者の功績を認めているのに、これはおかしなことだ。

核兵器の被害の悲惨さを一番よく知っているのは日本人だ。それ故に核兵器を使ってはいけないのだという声に説得力がある。日本だから核兵器廃絶のために出来るきとは多いい。
日本の政策決定者はこれまでの行動を改めることを望んでいる。

人類が初めて直面した核兵器の脅威、それに対峙した医療従事者たちの視点から、被爆の視点から、被爆の実相に迫る。

原子爆弾のとー投下により壊滅的な被害を受けた被爆地。
そになかで、被爆直後から医療活動を続け、負傷者が殺到したのが広島赤十字病院だ。

被団協の平和賞にも言及
核兵器廃絶決議を採択

国連委３１年連続
１日、核兵器廃絶を目指す日本提出の決議案を１５４ヵ国の賛成で採択した。採択は３１年連続。
今年の決議は日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞決定に言及し「核戦争に勝者はいない」として、核保有国に軍拡競争回避への行動を求めた。

「核軍縮の後押しに」ＩＣＡＮ＝核兵器廃絶国際キャンペーンの条約コーディネーター
テイム・ライト氏です。

「核兵器禁止条約」の署名・批准国を増やすため、各国の外交官に働きかける、「条約コーディネーター」として活動しています。

また日本政府に対しては、「被爆者に願いである核兵器禁止条約への参加を検討すべき」と訴え、まずは来年３月にニューヨークで開かれる締約国会議に、オブザーバー参加するよう求めました。

今なお　核依存への問題提起

「怪獣ゴジラ」の序章で次のように述べている。「第一回水爆実験！それは破壊というよりはむしろ抹殺であった。〜それは幸いに、実験の範囲にとどまってくれたであろうか。否、断じて否！」「ゴジラ」がビキニ事件の影響を強く受けていたことの証左だ。
映画のなかではゴジラ誕生の原因を「度重なる水爆実験」と断定している。
それと同時に、戦争傷痕が随所に描かれている。ゴジラ襲撃後の東京のありようは、まさしく大空襲、原爆投下後の被害そのものだ。
「ゴジラ」には「反戦」「反核」の強烈なメッセージが込められていた。

水爆の洗礼を受けてなお、生き続けるゴジラを、自衛隊の通常兵器で倒すことは不可能だった。
そこで、架空兵器が登場する。しかし、開発した博士は「公にしたら偽政者たちが必ず武器として使うに決まっている」とかたくなに使用を拒んだ。最終的にゴジラを葬ることになるのだが、博士らは自らの死で研究を封印したのだ。

　これは科学者が発見した核分裂反応を原爆という武器に転用し、なおかつ原爆投下の正当性を主張したトルーマン米大統領への明確なアンチテーゼではないか。
これは、核兵器の威力に依存することから抜け出せない日本の偽政者への問題提起として、今も全く色あせていない。